シュンの日記なページ

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美人国、札幌

 一ヶ月以上ぶりの札幌。埼玉からずっとモノレールに乗って羽田に着くまで、ダウンコートを抱えているのだが、他の人には異常に見えるに違いない。
 でも札幌では、期待通り、車窓の向うに雪が密度濃く流れる。ダウンのコートが少しもおかしくない光景。
 札幌駅地下街パセオのオムライス専門店に入る。パセオのこの辺りは昔からそう変わらない。でもJRタワー以降の札幌駅は、もはや違うものと言っていい。
 しかし札幌の女性たちは、実に美しい。東京はお洒落な人が多いが、意外とネイティブな東京人は少ない。ネイティブな東京人は基本的に流行を追うタイプのお洒落とは言えない、むしろ伝統から滲み出る落ち着いたナチュラルな洗練とも言うべきものである。
 だがそうした東京人は少なく、東京には様々な地方から出てきた人たちの雑多な最大公約数ばかりが溢れ返っているのだと思う。
 必然的に、地方出身者たちが築く幻想が東京、そんな軸のないお洒落感覚が巷に流れ、それらはいわゆる時代やメディアが作り出す流行、トレンドであるけれども、それ以上でもそれ以下でも決してない。
 そこへゆくと札幌の女性たちは、ネイティブな札幌人が多く、一様に雪国の白い肌と滑らかな肌が目立つ美形率の高さを誇っている。
 北海道の女性は美脚が多いと言う。その理由は、畳や座布団など、体型に無理のかかる生活を強いられず、冬場のストーブを中心とした生活空間がもたらす、洋式の立ち居中心の生活のおかげで、女性たちの脚はしなやかに美しく細く育つのだという。
 女性の脚の形の差こそが、東京に転勤して、最初に感じられる非常なる現実であるのかもしれない。もちろん東京でも近年は生活様式や食生活が西欧化し、美脚率は格段と高まっているように感じる。それでも長く築かれた畳文化の歴史がもたらした日本女性たちへの負担は今も多い。北海道は最初から炬燵や畳といった文化から逃れられているところが、少し図抜けていると言えるのだろう。

 


 札幌駅構内で誰かと待ち合わせる女性。その立ち居振る舞いの美しいこと。駅の対面ホームで、防寒着に身を包みながら風に身を曝した女性が、寒気のせいか険しい表情をしている。でも彼女の意思に反して、その表情の鋭く、美しいこと。
 なぜか東京から札幌へ帰ると、いきなり突き刺さるように女性たちの美が、否応なく眼に飛び込んでくる。これは確かなことであるように思う。
 しかし、その実、北海道の女性たちは、その後、けっこう大きな変貌を遂げてゆくのである。生活保護も母子家庭も群を抜いて多いのが、北海道の特徴である。北海道の不景気がもたらす離婚率の高さに連動する数字だ。しかし、不景気だけがその原因でもあるまい。一方で、開拓の歴史を縁の下から支えてきた女性たちの逞しさも、この記録的な数字に加担しているのではないだろうか。
 北海道の女性喫煙率は、いやになるほど多い。話し言葉なども、子供を生んだ途端に徐々に崩れてゆくイメージがある。「〜なのさ」「〜でないかい」などの北海道弁若い娘たちはあまり使用しないが、徐々に使用するようになるみたいである。
 清楚で美しいイメージに満たされた娘という時代から、家庭を支えるタフな「母さん」への変貌は、この土地においては、さほど驚くべきことではないようである。札幌に帰り、まず最初に感じたことがこんなことであるとは……。
 ああ、またも敵を沢山作りそうだ。

 そう言えば、浜松町のモノレールに乗るときに、逆方向から盲導犬が。その背後に、盲目の指笛吹き山田修さんがいるではないか。すれ違い様声をかけようと思ったが、互いに急いでおり、気づいた時には背後にあった。向うはこちらを知らないが、札幌の飛んでけ!車いすの会イベントの夜に居合わせたものだと言えば、その夜のことを思い出し、和んでくれただろうと思う。彼と盲導犬は東京へ向い、ぼくは札幌ゆきの飛行機に向った。