シュンの日記なページ

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桜前線と新潟で合流

 午前の便で新潟に飛んだ。新潟空港から市内に向かうタクシーの窓から、満開の桜が見える。運転手の話によると、ここ三日ほどが満開だと言う。明日以降は散り始めるのだろうね、と。

 満開の時期にしか、桜の花は基本的に輝かないから、普段、町なかにどのくらい桜の木が生えているのか、花のない桜だけではよくわからない。満開になってみると、ああ、こんなところにも桜の木があったのか、と改めて気づくことがある。

 その意味では新潟は、桜の木が多い町だなと思った。札幌にはほとんど桜の木はない。街路樹にも、庭木にも使われることがない。せいぜいが、円山公園の花見のための桜ということしか思いつかない。

 北海道では、松前五稜郭、静内、厚岸……などなど、そこそこに桜前線の移動の指標みたいに、桜の名所があるみたいだが、普段、札幌に住んでいる限り、桜を意識することは、滅多にない。

 大宮で育ったぼくは、小学校の校庭を取りまく桜の木、大宮公園の一面に咲く桜、後にひっこした先である北本の荒川の桜堤、東京の勤務地でよく通り過ぎた外堀公園の桜並木、そして上野公園で酔眼と狂騒のもとに眺めた桜、と桜の記憶に事欠かないのだが、北海道での際立った記憶は、ほとんどない。

 唯一の記憶は、ニセコでスキーを楽しんだ帰り、倶知安から余市まで走った陸の女王と呼ばれる蒸気機関車であるC−52の窓から、吹雪の向うにぱっと咲き誇る山懐の山桜。レトロなビュッフェの窓から、ビール片手に男爵を突つき、雪と煙ごしに、ときどき雑木の斜面に混じる山桜がとても印象的だったのを、忘れることができない。今も、ぼくの人生で出会った最も美しい絵画的風景の一つとして、それはぼくの心に残り続けている。