シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

本のコストパフォーマンス

 主にハードカバーの本を図書館から借りて読んでいる。理由は、高いから。それだけでは身も蓋もないので、もう少し詳細を言うと、こと本となるとコスト・パフォーマンスは一切信用が置けないから。
 電化製品のように性能差やスペックの数値によって優劣がはっきりしているもののコスト・パフォーマンスはわかりやすい。でもことこれが本となるとどうも怪しくなる。値段を決めているのは出版社であるので、彼らが作家をどうプロジェクトシてゆくかによって値段も出版数も変わってゆく。だが出版社があまり信用ならないのだ。
 何かの賞を受賞すると値段が跳ね上がるのはまだ構わない。しかし文庫シリーズが売れて人気が出るとハードカバーになるというやり口はちょっと汚いと思う。ディック・フランシスの競馬シリーズは最初はポケミスだったのだが、途中からハードカバーになった。ウォルター・モズリーの『ブルー・ドレスの女』はときの大統領クリントンに絶賛され、ポケミスで出版されたのが、次作からハードカバー。一番売れた本だけが安いという変な現象まで起きたのだ。逆に旬が過ぎ去り話題にならなくなってくると、その逆もありのようだ。アンドリュー・ヴァクスはハードカバーでのし上がって、後に新作でさえ文庫に格落ちした。版元の意向がこんなにわかりやすい商品というのも珍しい限りだ。
 マイクル・コナリーはいつの間にか文庫からソフトカバーになっているし、ロバート・B・パーカーは、従来のシリーズはすべてハードカバーなのに、女性探偵サニーのシリーズだけが文庫オリジナル。これを見て世のフェミニストが腹を立てないものだろうか、と心配になる。新潮文庫で出されたルーカス・ダベンポートのシリーズは売れなくなってから早川でハードカバー。どう考えても読者にとっては理不尽である。同じ作家の同じシリーズであっても、いいものが安く、どうでもいいようなものが高くなってしまうのだ。
 かくもコスト・パフォーマンスは奇怪至極。出版社ほど理不尽な値段のつけ方をする業種は他にないのではないか。