シュンの日記なページ

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『ジャッキー・コーガン』

 映画なのに小説のようであった。そういえば同じアンドリュー・ドミニク監督、ブラッド・ピット主演の『ジェシー・ジェイムズの暗殺』も小説のような映画だった。タランティーノの『レザボア・ドッグス』が小説のような映画であったように。
 要するに人間どものセリフが多い、葛藤が多い、シンプルではない、絡み合っている。活劇中心ではない。暴力は静寂の中に突然湧き出てくる。
 その上、清潔なものが全くない現代アメリカの病巣のような街と人との映像のみで綴られたストレート・ノワールと言ってよかった。サービス精神はむしろところん削ぎ落とされ、フィルムは監督の好きなように無駄遣いされ、事件はささいだが、終始テレビ画像から垂れ流される(現実の)大統領選挙の演説やアジテーションと、スクリーンで行われる人間たちの命や金の取引とが、とても隔絶されていて、そのコントラストが明らかに意図されたものであり、アクのヒーローの最後のセリフに結びつく。
 皮肉で、ブラックで、非情で、どこか喜劇的でさえある、徹底したバイオレンス・ムーヴィー。 今後、話題を呼び起こしそうだ。