シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

映画『ジャンゴ 繋がれざる者』

 タランティーノ監督の良さばかりが出た作品であった。
 ぼくがタランティーノという人を好きなのは、ぼくより少し下の世代でありながら、ほぼ、ぼくの世代の味わってきた映画体験みたいなものをこよなく共有している様子があり、それらの時代への郷愁めいたリスペクトを惜しまず、さらにそれらの追体験のようにして自らの映画作りを常に新鮮なものにしているところである。
 この映画『ジャンゴ 繋がれざる者』は、そうした昔体験の中でも際立ったブームを見せた、あのマカロニ・ウエスタンへのリスペクトを軸にした作品である。なんとフランコ・ネロを当時のままの格好でゲスト出演させ、新旧ジャンゴを対面させるサービス・シーンもあり!
 「繋がれざる者」との副題は、あまり映画のことを真剣に考えなかった誰かが、タランティーノが本作でこだわりたかったマカロニ・ウエスタンを、本家西部劇とごっちゃにしてしまったんだろう。おそらく二度映画になった「許されざる者」のもじりである。ちなみに『許されざる者』一度目は1960年監督はジョン・ヒューストン、主演がバート・ランカスターオードリー・ヘプバーン。二度目が監督主演ともにクリント・イーストウッド。ぼくは一度目の映画の方が断然面白かった。いずれにせよマカロニではない。副題は結果的に監督の意図を少し隠してしまった。
 閑話休題。最初に主題曲が流れて、大西部の当時の風景に、赤く毒々しいクレジットが流れる。マカロニ・ウエスタンの字体で。
 主題曲はもちろんあの『続・荒野の用心棒』(原題"DJANGO"セルジオ・コルビッチ監督フランコ・ネロ主演)のもので、過去の作品を踏襲させている。ちなみにサービス・カットとして本作の劇中でも、新旧ジャンゴが顔合わせをするシーンがあり、ぼくのような古いマカロニ・ファンを満足させてくれる。
 他にも懐かしい俳優陣がいっぱいいる。『マイアミ・バイス』のドン・ジョンソン、『ザ・ドライバー』『ブラック・サンデー』のブルース・ダーン。ほかにロバート・キャラダイン(デイヴィッド、キースに続くキャラダイン・ブラザースの末弟、『ロング・ライダース』監督ウォルター・ヒル(←サム・ペキンパ・ファミリー)には三人揃って出演した)などの名前もクレジットに見られた。
 黒人奴隷とバウンティ・ハンターの旅は、マカロニの三要素「残酷・皆殺し・復讐」を備えていて頼もしい。リー・バン・クリーフとジョン・フィリップ・ロー(「新夕陽のガンマン 復讐の旅」)の師弟コンビを思い出させたりもする。
 理屈抜きにただただ懐かしい時間を楽しませてもらった。なんとも嬉しく懐かしくたまらない一日である。