シュンの日記なページ

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ドラマ&ノヴェル

 今日はミステリ漬け。というのも、風邪を引いて具合が悪いので、仕事をサボって休んでしまったのだ。もちろん会社は休日だが、ぼくは社員でありながら、会社と契約している代理店のようなもの。事業主みたいなものなので、四六時中仕事漬けになってしまうのも当たり前と言えば当たり前なのだ。
 だけどそういうぼくにも休日はある。母の葬儀に仕事のピークが重なるなどして、それなりにバテてきていたのは事実。それが一気に出たのがゴールデン・ウィーク。札幌にも帰れず、ニセコのスキーも、アイヌネギも、月潟でのソロ・ゴルフも楽しむことができぬまま、家で燻る連日となってしまった。
 その代償というわけではないが連日、ご飯を炊いて、朝にはあれほど品薄だったが最近復活している納豆を毎日食べ、しかも鮭の切り身や鯵の干物などをおかずに出し、味噌汁も毎日作って、という贅沢なゆったりした朝ごはんを楽しみ、その後、録画したまま見ぬままに長い時間を経過してしまったミステリ・ドラマを楽しんでいる。

 今日は、横山秀夫ドラマ・シリーズというWOWOWドラマを3本見てしまう。

看守眼 真相 (双葉文庫) 深追い (新潮文庫)

『自伝』(『看守眼』収録)『他人の家』(『真相』収録)『仕返し』(『深追い』収録)。どれも短篇作品からのドラマ化だが、なんとも深みのある出来であり、横山秀夫の才能に改めて感嘆!

感染遊戯

 同時に今日は誉田哲也の警察小説『感染遊戯』を一日で読破。これがまた素晴らしい秀作である。A)3本の短篇+B)1本の中編で糾われるのだが、それぞれ独立した短篇として楽しめるAを、さらに共通して残された謎をBが総括して解き明かすといういわばミステリの重箱のような構造が優れて天才的なのだ。
 しかもこの一冊は姫川玲子シリーズの一環でありながら、当の姫川を差し置いて、彼女のシリーズ作品に関わってきた脇役たち、それでいていずれも癖の強い3人のデカたちを主人公に語られてゆく。これがなかなかに作者の筆圧を感じさせてくれる。いわゆる作者の意欲作であり、本シリーズにこだわる作家愛というあたりまで踏み込みたくなるほどのいい感じの本になっているのである。
 短篇それぞれが横山秀夫の境地に達しているし、長編として全体を捉えたとしても、軽く東野圭吾を凌駕しているのではないか。つまり、現代日本の警察ミステリを代表する技量ある作家たちのレベルに遂に到達してしまった感のある、これぞ誉田哲也の代表作と言いたいほどのいい出来なのである。
 今日はそういう意味ではドラマとノヴェルのせめぎ合いのようなものを感じつつ、ミステリが熟成され行く様にどきどきさせられた一日であったのだ。決して発熱の影響ではないと思いたい。