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連作長編小説

 海堂尊アリアドネの弾丸』読了。日曜日にあと50ページを残しながら、なかなか読み終わらないのは、遅い帰宅と真夜中近い晩酌、そして訪れる強烈な睡魔のせいだ。ぶつぎりにページを繰ったためこの作品には気の毒だが、トリックの多い本格ミステリに近い作品であるように思えた。宝島大賞で始まったシリーズだけに、宝島社から出る作品は、海堂尊の中でも主流と呼べるものが多く、田口、白鳥の迷コンビを軸に、エンターテインメント性が強い。

アリアドネの弾丸

 一方で『ジーンワルツ』の帝華大シリーズはどちらかと言えば少し生真面目な作風かな。
 今回は久々に原点回帰のミステリ、そしてテーマは、作者がこれを現実化するために作家になったとまで言う死後画像診断。警察のサイドである法医学者の分野に、さらに専門化した医療のメスが入ることを警戒する警察が東城大医学部を潰しにやってくる。そんな攻撃に対して迷コンビが活躍する、といったもの。作中には様々なほかの作品の登場人物が例によって現れる。懐かしい『ナイチンゲールの沈黙』や最近印象的だった『マドンナ・ヴェルデ』や『極北クレイマー』などの登場人物が印象的に作品にアクセントを付けるので、この作家の作品を沢山読んでいる人ほど、互いの作品の関係をも含めて楽しめるかもしれない。
 連作長編小説という言葉はないと思うけれど、今や、海堂尊作品はそうとしか表現のできない独特の世界を構築しているように思えてきた。