シュンの日記なページ

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羊おじさん

 仕事が多すぎて、とうとう深夜帰宅である。何も口にしていないので、真夜中でも開いている中華チェーン店に入った。消耗が激しく、眠気でいっぱいのなか、生ビールを飲み、炒め物などをつついているうちに、何となく回復してきて、本を開いて読みながら、箸を口に運んだ。
 ときどきガシャーンという音がしたり、どかんという音がして、そのたびに、三つくらい隣の若いカップルの男の方が酔っ払っているんだろう、テーブルの上のものを落としているのだった。
 そのうち彼がトイレに立ち上がったとき、幸い誰も座っていないテーブルの上の水のはいったポットをぶちまけたのだった。その先には中年と若い二人のサラリーマンが、酒を飲んだ後のラーメンを楽しんでいたのだった。兄ちゃんは立ち上がった中年の人に、寄りかかるような格好で、すみません、大丈夫ですか? とでろでろの呂律で謝ろうとするのだが、激しく酔っているために、見ようによっては、凄んで絡んできているように見えないこともない。
 おじさんはきっと若い酔っ払いと関わりたくなかったのだろう。水を思い切り、ズボンにぶっかけられてるのに、あ、大丈夫、大丈夫、とにこにこ営業顔になっているのである。あーあ、羊みたいだな。若い社員の方は何か言いたそうだったし、店員も心配したのだが、いやいや、どうもね。気にしなくていいから、と若者を激しく許そうとする。若者は、しつこくすいませんをくりかえし、酔ってくねくねになる。
 おじさんと若いサラリーマンはお勘定を頼み、さっと店を出て行ってしまった。若者はトイレに。つれの女の子が、若者が遠ざかった途端、しきりに店員に謝っていた。一緒になって誤ればいいのに、と思ったが、他人事だし、こちらも疲れているので、ほっておいた。
 それでもなぜあのおじさんはおこらなかったのだろう。いつまでもその羊みたいな逃げ腰の態度が気になってならない。何もかもが不思議に思える夜だ。