セルフ・ノー・コントロール
銭函の宿はどんなだった? と聴くと、函館本線で札幌に戻ってきた同僚は、こう言った。
学生たちでいっぱいで賑やかでした。若い旅行者たちって意味です。娘たちじゃなく、野郎ばかり。食事は、セルフで刺身や味噌汁を勝手にテーブルに運んで食べる形式で、美味いとかまずいとかいうレベルの代物じゃありません。布団を自分で敷き、そして寝ました。
これくらい情報を聞かされても、さっぱりどうなのか要領を得ない。全く宿そのものに関心がないのか、評価が低かったということなのだろうか。人によって、食事、部屋、宿の人、客層、そういったものの好みは違うだろし、気分によっても違う。旅行でわいわいやってくる若者たちには楽しい一夜でも、ビジネス・ホテルを抑えられず、流れてきた事情の出張サラリーマンにとっては、少しずれた空気が、うっとうしかったかもしれない。
帰りには飛行機で帰るため、午後から夜までの会議を終えると、そそくさと同僚の車で札幌駅に帰っていった。帰り着くのは日付が変わる頃の時間だそうだ。サラリーマンは辛いよな、と今日はあくまで他人事である。
現在午前3時になろうとしている。こんな時刻に起きている原因は、コーマック・マッカーシー『血と暴力の国』。大変にスリリングな展開のノワールに夢中になってしまっている。早朝からゴルフに出かけなければならないというのに。これじゃあ睡眠時間は3時間半だ。うーむ。