シュンの日記なページ

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いくつもの別れ

 雨の予報だが、実際はくつがえって曇り。昨日と打って変わって暖かな日である。穏やかな海辺の道を、白神岬へ走る。北海道最南端への旅程である。それぞれの海辺の町で、すっかり親しくなった人たちと、別れの挨拶を交わして辿る。
 松前町で、どうしても会わねばならない人を待ち続ける。高台に停めた車の中で、海を見下ろす。前方の坂道にかけられた信号機のある交差点にパトカーが止まり、青信号で坂を下りてゆく。しばらく、眠気に揺さぶられる。やがてまたパトカーが信号機で止まり、さっきと同じように坂を下りてゆく。
 小さな子供たちが雪橇を片手に、兄や姉の下校を迎えに出てくる。坂道をやっとの思いで登ってきて、道端にわずかにわだかまった雪に橇を乗せるが、滑る余地はどこにもない。穏やかな海峡の陽射しに打たれて、雪は溶け切っているのだ。兄らしき中学生が、子供たちと合流し、一緒に坂を下りてゆく。三枚もあった雪橇は一つに纏められる。子供たちの顔は兄と合流した途端にぱっと輝いた。思わず微笑んでしまうほど、明るく輝く。
 パトカーがまた止まり、やがて坂を下りてゆく。下校時間の巡回だろうか。同じ、一人乗りのパトカーだ。
 やがて待ち時間は終わり、日が暮れて、待ち人に会う。別れを惜しむためだけにあったような一日。
 夜更けて、屋台村に飛び込む。あっという間に過ぎ行く時間。これまでと同じような夜なのに、これが最後だ、しばらくお別れだ。誰にも同じような言葉をかけ、いくつもの別れを、悲しんでいる自分がどこかにいるのだ。