家路
札幌に戻ったのは夕刻で、日暮れ時だ。
パソコンデータを退避させて、ハードディスクからすっかり消し去る。送り出す書類と、捨てるべき書類を分けた段ボールに封をする。キーホルダーから職場のキーを外し、事務机にそっと置く。
元の仲間たちに別れを告げると、冷えて凍りついた雪の上を、転ばぬようにしずしずと辿り、車の中に身を投げ出す。この職場を後にする最後の夜。
辿り馴れた通勤路を、冬の夜気の中を、辿る。ドボルザークの家路みたいに。
家に着くと、新居のケーブルテレビの申込書が届いている。明日は、パソコンを箱詰めにして、引越し屋に委ねるのだ。夕方には、家を出て、苫小牧から船に乗るのだ。北海道を後にするのだ。
北海道発の日記は今日でしばし中断。
次からは育った土地の日記が再開するはず。その日まで、慌しく、きっと時は流れる。また、関東より、お会いしましょう。予定では回線が繋がるのは4日の午後です。