シュンの日記なページ

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真夜中の迷路

 先週に続き存続が危ぶまれる"漁"に出かける。もちろんこのブログでの業務連絡に反応してくれたスパイ1号さんと。能登の生牡蠣と焼き牡蠣を両方食べて、お酒も安芸虎っていう高知の酒と、早瀬川ニ種。コラーゲンたっぷりのホルモン鍋は初挑戦。いやあ、美味かった。
 帰りがけ、いつもと違う路地を曲がってみた。こちらの方に近道があるような気がしたのだ。でも、どんどん迷い込む。ふと明るく照らし団地の前に出たのだが、通り過ぎようとした時、何か目に不自然なものが映ったので振り返った。すると団地の入口にあるモニュメントみたいなもののベンチに向うを向いてスーツ姿の女性が座っているではないか。午後1時頃だったろうか。ぼくの足は止まらずに前に進んでゆくが、何か酔いに任せてストーリーのようなものを幻想として思い浮かべているのではないかと、自分の精神まで疑い始める。
 というのも、どんどん迷いは深くなり、方向もわからなくなってしまったからだ。静まり返る坂とカーブの多い歩行路。フェリーニの映画みたいだなあ、とその幻想性にふらついてくる。
 猫を見てしゃがんでいる二人の女性がいた。そこを過ぎてさらにいろいろと角を曲がって、ああ、これはもう駄目だ、引き返したほうがいい、と判断した。それは後になっても、とても賢明な判断であったように思う。
 ところが帰る道もまた角を間違えているようである。少し前に猫を見つめてしゃがんでいた女性たちはいない。そしてさらに道を行き進んでゆくと、先ほどの団地の入口に出た。そこに座っていたスーツ姿の女性はいない。しかし闇の中のどこかで女性の笑い声が聞こえるような気がする。
 やがて、元の道に戻ることができた。正常ないつもどおりの小道を辿っているつもりだったのだが、なぜかやはり変てこなところにふたたび迷い込み、思ってもいなかった場所に出た。家の近所だ。
 新居ということもあるし、この錯綜した古い町並みに馴れていないこともある。でも、あのスーツ姿の女性と闇の中の笑い声、猫を見つめてしゃがみ込んでいた二人の女性たちは、未だに幻想のように思えてならないのである。