シュンの日記なページ

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今日も、事件のこと

 事件の報道はさらに加熱している。北海道新聞は地元のニュースを優先する。

 首を吊って死んだ男は46歳。二十代前半の若い女性は、なぜいとも簡単に札幌市の真ん中でモデルにならないかと声をかけられ、のこのこと着いてゆくのだろうか。

 車に乗せられ、玩具のピストルを突きつけられ、猿轡と手錠をかまされ、アパートに連れ込まれる。行方不明の女性も、助けられた女性も、どちらも目撃されている。ここで疑問。二番目の女性は目撃者の通報により救われた。一番目の女性は目撃されているのにも関わらず、そのまま通報されることもなく、闇の奥へ消えてしまった。目撃者は、猿轡をかまされ、アパートに連れ込まれようとしている女性の危険をなぜ察知してあげられなかったのだろうか。

 男は、街なかで行方不明女性を誘っている姿を目撃され、北広島でも目撃されている。そのとき二時間だけ外出し、道央道を使ったことも証明されている。行方不明女性が連れ込まれた翌朝に、男は北広島に二時間だけ出かけており、その後女性の行方が途絶えているのだ。

 男は死に、通報もされず隣近所から見放された女性は、アパートの鍵も財布も免許証も、男のもとに残したまま、消息を絶った。

 宮部みゆき『楽園』を読み始める。サイコキラーを扱った『模倣犯』の続編。アリソン・デュボアみたいな超能力を持った少年が、犯罪現場の絵を残して死んでいっている。北丘珠の行方不明事件も、生きた証人がいないのなら、「ミディアム」みたいに誰かの夢のお告げで解決すればいいと思うのだけれども。

 そう言えば、花村萬月氏が、日記で事件や報道などを綴らない主義であることについて、最近ネットの某箇所で理由とともに書いており、私は心の中で快哉をあげた。私は、花村氏と同じ意見である。基本的には日記で、事件や世の中のことをあまり書かないように気をつけている。ネットの中で、情報を右から左に伝えることに、何の価値も感じない。専門職であり、それを仕事の一部と重ね合わせる意図であるならば、ネットでの情報の集約や発信もOKだろう。しかし私は趣味でネットで遊んでいるだけだから、仕事のことだってあまり書かない。コムスン不正受給は、その限度を越えて、自分の職種に抵触してきたので、ついに書いてしまった例外と言える。

 だから、今回の事件だって、北丘珠の私の通勤路ではなく、札幌南部の遠く離れた場所で起こったものであれば、この日記で取り上げられることは絶対になかったはずである。私が通りかかったときに、あのアパートで、犯人は首をくくったばかりだった。女性の方は猿轡を解かれ解放されていた。すべて翌日の新聞で知った話だが、私の見た時点では、警察が突入を終え、騒然とした空気のさなかで、救急車はまだ誰も運んでおらず、道路に待機し、片側の交通を遮断していたのだった。空のストレッチャーが、二台アパートの前に綺麗に並んで、赤い救急灯に照らされながら、誰かがそこに乗せられるのを待っていた。付近の住人が緊張感に満ちた顔でこの異様な光景を取り囲んでいた。

 そんなところを通りかかったばかりに、何故か、その後の日々、この件に関する新聞記事を追跡するようになり、毎日、事件現場の前の道路を、憂鬱な思いで、行方不明の女性の運命を気にかけながら、走り抜けているということなのである。

楽園 下 楽園〈上〉