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父の危機

crimewave2007-05-07

 父に頼まれたギョウジャニンニクをまだ入手できていなく、5月5日も、宮城の爺ちゃんに土産を買いに行こうと言う言葉で息子を石狩浜に誘い出したのだったが、やはり海岸沿いの店にはギョウジャニンニクは出回っていない。喜茂別とか倶知安の方にでも行かないとないのかもしれない。

 そんなことが気になっていたら、今朝方携帯に電話が入ったようなので、折り返したところ、父が出た。「今、どこにいるんだ?」「今、通勤中の車のなかだ」「そうか、悪いな」というやり取りの後、父の再婚相手のおばちゃんが出た。おばちゃんは「いいかい、読むよ」と言っていきなり医師の診断書を読み出した。病気は、肺炎で、呼吸不全と高血圧が見られ、心臓が肥大、肝炎も併発しており、今後二週間以内に致命的な発作が起こりうる可能性がある、というような内容に、少しこちらの方が聴いていてどきどきしてきた。

 「先生が来たから切るよ」と言ってそのまま電話は切れた。病室で電話をかけたり取ったりしていたのだ。もちろん病院の規則に反して。父が救急車に乗るたびに運び込まれる病院は東北の郡部では珍しい機材もスタッフも揃った病院なので安心はしているが、何せ大正生まれ、兵隊にとられシベリアでの抑留生活まで経験してきた年代の男だ。今は85歳か。元気で介護認定も受けず、掘っ立て小屋造りと岩魚釣りの愉しみで老後を埋めてきた人だが、離婚したり家にいつかなかったり、酒で暴れたり、卓袱台引っ繰り返したり、とぼくには本当に悪い父だった。でもできの悪い父だったからこそ、老後には急速に親しくなった。悪鬼のような男だったのが、離婚して再婚して引退して田舎暮らしを始めてからは、とても優しい柔和な人間になった。

 そんな父が危機に瀕しているらしい。ギョウジャニンニクを買って送ってあげていないことが未だ気がかりだ。ちょっと食べたいんだよな、とわざわざ電話をかけてきたのにこたえられないなんて、今はぼくのほうがよほど悪い息子だ。