スッポンと父
高田馬場で飲んだ。FADVのなかでもぼくが楽しいと思う人たちとの呑み会なので、とても嬉しかった。
スッポンを二匹用意してくれたので、刺身、竜田揚、鍋などいろいろ出たのだが、思い出すのは亡き父の晩年、再婚相手のおばさんに指示されながらスッポン鍋の支度を手伝ったこと。
特にスッポンは噛まれたら大変なので、タオルかなにかを咥えさせ、その瞬間に首を断ち切るのである。その辺のアクションシーンを手伝った。その後、首の切断面から生き血を絞って、ワインで薄めて飲んだ。父がまだ元気で、生き血を分け合って飲んだ日のことを思い出す。
今夜の呑み会では生き血を皆敬遠していたので、ぼくは父の想い出にと、胸のうちで呟きながら、かつてそうやったようにぐいっと一気に飲み干した。
今日の幹事に感謝だ。父の思い出とFADVの思い出とを甦らせ、心を温めてくれたことに対して。