ビフォア・ザ・ライブ

　新都心で喫煙者二人と、禁煙者であるぼくと三人で、どこかお茶を飲むところをと、うろうろしていたのだが、どこも人でいっぱいだ。年末のせいもあるのだろうが、スーパーアリーナでミスチルのライブがあるらしく、駅前でチケットを求める女性の姿がやけに多かった。
　缶コーヒーだけで我慢することにして、ヨーカ堂前の喫煙所にお付き合いする。少しだけ必要なことだけを駄弁り、そして二人の喫煙者とぼくは別れる。
　ふたたび新都心の駅前を通ると、チケットを求める女性たちの姿はいつの間にかなくなっていた。代わりに違った人種たちがあとを占めていた。
　ダフ屋らしき人相もうろついていれば、顔見知りの警察たちも腕に「警察」の腕章をこれみよがしに付けて、ニヤニヤしている。制服の警官が何人かで駆け寄った先には、金髪の娘がカタギの女の子にチケットを売っている光景があった。今は、ダフ屋も若い娘を使うようになったのかな。
　なんとなく年の瀬っぽい猥雑さでいっぱいの新都心を背にする。あっという間に暮れてゆく街の、せわしない空気を後にする。