夕焼けの下で

　わけがあって職を辞した。
　急な話ではあるが、今後の見通しを測りながら、次なる生活設計を組み立ててゆくつもりである。
　新婚早々に何をやっている？　という話ではある。
　とにかく2年間以上に渡って仕事に打ち込んだ。土日も祝日もなく、仕事に出て、実績に飢え、収入に飢えてみた。その前1年強の、上京してからの煮え切らなかった内勤業務から、狩猟タイプの外回り営業に戻ることができた喜びを、当座のエネルギーに代えて、そして自分でも飢えた肉食獣みたいだな、と意識しつつ、やはりそれなり
に成果を得ることができたし、何より満足感を覚えていた。
　欲しかったのは、時間であり、余暇である。
　今回あるきっかけがあり、外的要因が後押ししてきたのをきっかけに、退職と相成った。
　とりあえずこれにより時間をもらったので、蓄えをあまり使わないうちに、次の人生を考えてゆきたいと思う。
　夜更け20時過ぎ、仕事場の人間たちが何人かやってくる。退職のおまけみたいな用事。そろそろ部屋の片付けを開始しなくてはなるまい。
　ともかくも、夕暮れの空は、今日も美しい。