ハートウォーミング・モーニング
朝から雨脚が強い。そうだ。昨夜も雨が強かったのだ。ウォッシャー液が空でワイパーがうまく窓の雨水をぬぐってくれなかったんだ。荷物をパジェロの助手席に放り込んで、フードを上げ、ウォッシャー液の代わりに水道水を注いだ。まだ冬ではない。凍りつく前に原液を足しておけば配管が壊れることもないだろう。
そんなことを思っていると、篠突く雨の中で傘をさしかけてくれる人がいる。誰だろうって振り返ると、毎朝迎えに来る息子の友達である。有難う。すぐ終るからいいよ。でも濡れますから。どうせもう一人の友達待っているし。
息子が玄関から出て駆け出してきた。ぼくも給水を終った。でも、いまどき、友達の父親に傘をさしかけてくれる中学三年生ってどれだけいるだろう。例えば自分の息子にそれができるだろうか?
息子にはいい友達がいる。友達でなくったっていい。そういう中学生がこの世の中にまだいたんだって、確認できただけで、すごく気持ちがやわらかくなった。
もちろん会社でも、帰宅後の自宅でも、この件は話をした。皆、聞いた人が喜んでくれるみたいだった。心はずむようなできごとだった。何でもないちょっとしたことなのだけれどね。