シュンの日記なページ

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CDを購入して聴くということ

 ウェストコーストサウンドをとても久しぶりに聴いた9月の午後がきっかけになって、最近、ネットでCDを注文している。
 実はCDを買わなくなって久しかった。簡単にレンタルCDをコピーして、あるいはMP3ファイルなどに圧縮して、それをCD-Rに焼いて、カーオーディオなどで聴くことはあっても、家で、数少ないプライベートな時間を音楽を聴くことに費やすということが、なかなかできなかったのだ。
 ところが、ある午後を音楽を聴くことに費やしてみて、こうした時間のあり方を、なぜか久しぶりに思い出させられた。
 ぼくが本当に好きな音楽を聴くことから遠ざかっている間に、アーティストたちの音楽活動は、当たり前のことだが、ぼくの生活圏域とは別のところで着々と進んでいた。ぼくの好きなアーチストたちは、70年代にヒットチャートを騒がせた人々が圧倒的に大勢を占めている。だからこちらが積極的に関わろうとしない限り、新アルバムのリリースのような基本情報は基本的に手に入ってはこない。いくらネットに常時繋いでいたからって、古いミュージシャンたちの情報なんぞ、これっぽっちも入っては来るはずがないのだ。もちろんレンタル店でだって、昔のミュージシャンたちのアルバムは、新作も旧作も置いてなんていないということがほとんどだ。
 だから検索に検索を重ねて情報を手に入れ、アルバムを注文するという行為に乗り出してみると、改めていろいろな発見があって、驚かされることになる。
 さらにアルバムが届き、音を耳にする。ぼくはそうした時間を過ごすようになった。貴重ななけなしの時間を、音楽を聴くという行為だけで埋めてしまうその贅沢が、なんとなくわかるようになった。いや、かつて普通に済ませてきた時の過ごし方を、今になって思い出してきた、というべきだろう。そしてそういう時間を必要としている自分に気づいた、と。
 エミルー・ハリスとリンダ・ロンシュタットは、ぼくの最も好きな女性シンガーである。その二人が1999年にコラボレーション・アルバムを出していたなんて全然知らなかった。
 エミルー・ハリスに関しては、女性だけのコンサート、リリス・フェアで活躍し、アルバムも着実にリリースを重ねている。聴いてみると、ぼくの買ったリンダ&エミルーのCDにも、エミルーのWrecking Ball(1995)にも、ぼくのモスト・フェイバリット・アーティストであるニール・ヤングが、コーラスやハーモニカでゲスト参加している。エミルーの件のアルバムは、タイトルがニールの曲だから買ったということもあるけれど。二人の女性シンガーは、かつてどちらもニールのアルバムでバックコーラスを勤めたことがあり(エミルーのほうはボブ・ディランのアルバム『欲望』のほうが有名だ、もちろん)、とりわけリンダは、ニールの曲Love is a rose をカバーでヒットさせ(ニール演奏のほうがリリースは後になったけれど)、ニールのベストヒット・アルバム『ハーヴェスト』のコーラスに起用されたことなどをきっかけにして、一躍有名になっていったのだ。
 さて、次のCDの話。ぼくの最も好きなバンドであるクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングが、同じ1999年に、11年ぶりに再結成してアルバムを出していたなんてことも、ぼくは全然知らなかった(『北の国から』の純の口調で)。前作のAmerican Dreamはあまり好きじゃないのだけれど、このLooking Forwardは、またまた熟成した4人がいい味を出していて、先日聴いたクロスビー&ナッシュの最新アルバムとともに驚かされる。でもこうしたアルバムではニールがカントリー調の、力を抜いたソフトな曲しかリリースしない点が相変わらずだ。
 音楽ドキュメント映画『イヤー・オブ・ザ・ホース』(何とジム・ジャームッシュ監督によるものだ。もちろん『デッドマン』でニールのギターを全面的に起用した程だから、彼のニールへの傾倒ぶりはわかっている)で、クレイジーホースを従えたニールの圧倒的にスピリチュアルなライブ・スタイルに身を震わせた直後だっただけに、何とも今回のCSN&Yには驚く。やはりニールはクレイジーホースに限る、ってことなのだろうか。その辺を、ぼくの最愛の音楽評論家、天辰保文さんは、ライナーノーツでとてもしっくりくるように言い含めてくれているのだが。
 というわけで、かろうじて散髪に出かけた以外は、一日中音楽ばかり聴いていた。またもウエストコースト・サウンドばかり。そんな一日が何と貴重であるか、わかりかけているこの頃である、とだけ、言っておこう、今日のところは。