時間差ビール
焼肉屋に誘われて入ったのだが、ぼくは車だ。なのでビールも呑めない。一緒に入った一人はビールをぐびぐび呑む。もう一人は車じゃないのにビールは嫌いだから呑まないと言う。ここの焼肉はおごりだし、霜降りカルビがじゃんじゃん出てくる。また別の一人はカルビクッパを頼んで食べているが、ぼくは焼肉ではご飯は食べられないのだ。だいたい夕飯にあまりご飯を食べることがない。烏龍茶を呑みながらカルビをつつく夜ほどぼくにとって過酷な拷問はない。
仕方なく家に帰ってから煮物を温めて、蒟蒻や里芋をつつきながら焼肉の味を思い出しながらビールを呑んだ。時間差ビールだ。腹がいっぱいだったのでビールは思ったより美味しくなかった。時間差ビールというのはやっぱり成り立たないのだった。