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阿修羅のごとく

 TVドラマで向田邦子の『阿修羅のごとく』と山田太一の『高原へいらっしゃい』が重なって大いに迷ったのだけれど、短期集中ということで『阿修羅のごとく』を見てしまった。もう何度も見ているのに面白いのだ。向田さんは大韓航空機の撃墜事件で亡くなった脚本家だが、このドラマの主役はなんといっても「トルコの軍楽」という、ドラマ中であまりにも効果的にテーマ曲ではないだろうか。
 昨夜このドラマを数年ぶりに見たぼくの頭のなかでは今日一日「トルコの軍楽」が鳴り響いてやまなかった。この音楽をバックに置いてみると世界が違って見えるような気がしてくるのだから不思議だ。
 またこのドラマでは八千草薫が最高に素敵だ。その八千草薫はドラマ中では次女役。『阿修羅のごとく』は今年の11月に映画化されたものが公開されるが、八千草薫はその中で母親役をやることになる。物語上、次女は母親に自分を重ねて夫(緒方拳)に当たるのだが、その母親の役に割り当てたキャスティングの方に喝采を送りたい。
 『阿修羅のごとく』は地味なストーリーだが、ドラマとしては凄まじいインパクトを持っていた。この時代、向田邦子山田太一倉本聡といった脚本家時代がなぜ訪れたのか、今のテレビ局に是非考えてもらいたいのだが、今は「げつ・く」とか言うだけで視聴率が稼げてしまうので、馬鹿な視聴者だけを相手にした馬鹿なテレビ局は馬鹿な番組しか作らなくなった。
 『阿修羅のごとく』が映画化されるのもリメイクされるのもあまりいいことではないように思うけれど(オリジナルを超えられるわけがないと思うから)、森田芳光監督というところに少し惹かれるものがある。森田監督は馬鹿な流行りを全部引き受けて、結果的に馬鹿な視聴者などにはわからないATG時代を髣髴とさせるラジカルな映画作りをやってくれたりするからだ。職人万歳、だからだ。