『脳男』レビュー
派手で毒々しく、けばけばしく、恐ろしくバイオレンスで、荒っぽい、そんな映画である。しかし、好感が持てるのは映像美である。CGにない重たいアクション、というか、例えば爆破シーンにそれぞれ素晴らしい迫力がある。本物の炎だ。カーチェイスも、格闘も、素晴らしい活劇を次々と連続してくれる。さらに刑事たちの捜査でベイサイドを歩き回るシーン、たっぷりと時間をかけて切り取ってきた単なる風景映像が丁寧で嬉しい。これが映画、っていうイメージの、いわゆる最近にないしっかりした骨格の映画。
ストーリーは毒々しく、際立ったダークヒーローということで、度肝を抜かれる少年少女が何人も出てくるところが非現実的だが、この際破天荒ぶりに眼をつぶって、ただひたすら楽しんでしまえるエンターテインメントと割り切ったほうが良さそうな映画である。