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『探偵はバーにいる』

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)
 さて映画館で『探偵はバーにいる2』が作られる、って特報がかかったので、慌てて、見ていなかった『探偵はバーにいる』を見ることにした。
 いくら大泉洋が『水曜どうでしょう』で全国的に有名になったからと言って、まさか東直己のすすきの便利屋シリーズの映画化で主演をやるとは思いもかけなかった。佐呂間町カーリングのコーチ(『シムソンズ』)くらいではまり役かな、とは思ったけれども、このすすきの便利屋シリーズの主人公の小説における描写との差はあまりにも埋め難い。ましてや高田像があまりに違いすぎる。
 まず探偵は、太っちょで足の踏場もないアパートに住んでいる。サイドベンツのダブルのスーツに黒ワイシャツというどうみても筋物にしか見えない格好でのし歩き、朝から行きつけの喫茶店ナポリタンを食べる際、スーパーニッカを一緒に飲むというアル中もどきの酒好き。
 大泉洋は下戸であり、やせ型であり、この映画では革ジャン着用である。まるで東直己の造形した人物とは違っている。
 一方相棒の高田は、原作では相棒というよりも脇役の一人に過ぎず、札幌で個人FM局を開局し、真夜中にDJを趣味実用兼務でやっている。そういうものとは縁の無さそうな松田龍平を起用し、空手というところ以外高田らしさのない人物として、むしろ父・松田優作に近いようなすっとぼけ格闘技青年を演じている。
 それらはそれらで映画のそれらとして味があるのかもしれない。しかし、原作がそれなりに優れたキャラクター作りを成し得ているところに持ってきて、あまりにも違うキャラ、となれば、これは原作とは別物、として認識してかかるしかないのである。
 で、映画独自にはどうか、というと、すすきのを初め、札幌周辺の様々なロケ地が見知っている場所ばかり、ということで、これまた気が散っていけない。中でも石狩浜にある鮭料理店<金大亭>が、右翼の道場に使われているので、びっくりした。でも札幌は映画になるなあ、って思う。レンガの倉庫や雪の夜。美しいぜ。そしてハードボイルドが似合う街。こいつが見られるだけでもいいや、って思う。