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ヒッチハイクの賛否両論

crimewave2007-01-10

 萬月氏のミクシー日記で見かけるまで、ロジャー・ウォーターズのこのアルバムをすっかり忘れていたのだが、ぼくはこのアルバムをいたく気に入って、毎日毎日聴いていた時期があるのだった。1984年だから、人より遅い就職をして二年くらい、独身の独り暮らしを堪能してオーディオ・セットを狭い部屋に並べて、Sヤイリのギター掻き鳴らしながら音楽ばかり聴いていた頃のことだろう。エアコンもストーブもなくて、夏は、前の住人が置いていってくれた掌大の扇風機(もちろん首なんか振らない)を窓辺において涼み、冬はビールケースを並べた簡易ベッドの布団にとりあえずもぐりこんで過ごしていた。

 そんな記憶を掘り起こしながら、今、amazonからCDで取り寄せたこのアルバムに耳を寄せてみると、必ずしもロジャーのボーカルや哲学的な凝り過ぎの歌詞のどちらも好きではないのに、このアルバムがそれでもいろいろな魅力を発していることが思い出されてくる。

 繰り返し繰り返し歌われるリフレインのメロディにうんざりしがちな感覚を、アレンジの見事さが救ってくれている。有名どころのミュージシャンが犠牲的精神でバック演奏に身を捧げていながら、それでもところどこで好きなように目立ちまくっているのも面白い。サンボーンもクラプトンも。

 それからこの一枚そのものが実は夜明けのまどろみのなかで見る夢、というアイディアも愉快だ。内容も、性夢、恐怖の夢、釣り、不条理な冒険、旅立ちの夢と、まるでつげ義春みたいでおかしかったのを思い出す。夢のクライマックスとも言える「心のヒッチハイキング」という曲は乗りがよくて、とりわけ何度も聴いたのだった。ピンク・フロイドを解散してすぐのアルバムだったと思う。

 CDを聴いていて一箇所だけ音が途切れるところがあるのが不自然なのだが、すぐにオリジナルLPではA面からB面に切り替わるところと気づき、苦笑してしまった。CD世代には、このブランクの謎は、もしかしたら永遠にわからないのかもしれない。

 そういえば、萬月さん、ミクシー日記でピンク・フロイド・ライブ・アット・ポンペイを買ったとのこと。お互い、昔のものを思い出させ合わないと気づくことのない健忘症中年同士なのかもしれない……と思ったら少し愉快になった(←勝手に巻き込んですみません m(__;)m)。人は助け合って生きるべきですな。