『藁の楯』
カンヌ映画祭出品作ということで注目していた作品をやっと劇場鑑賞。
大沢たかおは、二枚目ではないゴツい表情をした俳優だと思うが、『ストロベリーナイト』に続いていい役を得た印象。
実際、これは予告通りのノンストップ・アクションだったか、と言うと……
良い面は、金を使ったゴージャスな映像。ノンストップ・アクションを支える開通直前の実在の高速道路を使ったカー・クライシスや、JRで撮影許可が取れなかったゆえに台湾の新幹線内で撮影した新幹線シーン、ラストの警察庁前のエキストラの数量で驚かせるそのボリューム感。
悪い面は、脚本。原作が悪いのかもしれないけれど、脚本での浪花節に熱中するあまり犠牲にしてしまったリアリズムの数々が気になって仕方なかった。舞台演劇なのかと思うほどセリフが長く、説明が多いのは、映画としては方向性が間違っているようにしか思えない。
なにゆえカンヌに出すことができたのかしらないが、TV局の絡んだ制作サイドの思惑というのは、映画のプロフェッショナリズムとは、少し一線を画すのかもしれない。
面白いストーリー、いい俳優陣なので、金と食材はあるのに、いいシェフを雇えなかったとの印象が拭えなぬ映画なのであった。