シュンの日記なページ

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中途半端でいびつな光景のなかで

 さいたまには古く懐かしい光景がまだまだいっぱいある。
 土が引っ繰り返されて、農地や山林が新しい道路に変わり、新しい家が建っている地帯では、新しい住人の家から飛び出してくる新しい子供たちが春休みを謳歌しており、この子たちは落ち着かない周辺環境の中で、たくましく、自然と開発のはざまの時代に元気な声をあげている。
 それを見ていると、戦後の復興期を経て、高度経済成長期を迎えた頃に子供時代をすごした自分自身の記憶がよみがえる。どこもかしこも道路工事だらけで、土が引っ繰り返され、人口の大移動があった時代、ぼくらはその中途半端でいびつな光景のなかで、たくましく、陽気に、それを味わい、遊びまわっていたのだ。
 同じ光景がこれから復興に向けて始動しようとする被災地に出現するに違いない、とぼくは確信する。子供たちの生命力ほどたくましいものは、この世にない。

花の鎖

 湊かなえ『花の鎖』読了。売れているんだろうね、この作家。どこの書店でも目立つ位置に置かれてていのよいディスプレイと化している。だからっていうんじゃないだろうが、装丁さえもが以前より遥かに華やかになった。
 内容も陰惨なものから次第に身近なものへと遷移しており、それでいてストーリーテリングにも磨きがかかってきている気がする。感動する、っていうところには今ひとつ及ばないところが、この作家の持つ寓話的作風の弱さなんだろうけれど。