シュンの日記なページ

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インディ・ジョーンズの楽しみ

 店頭にはまだトイレットペーパー、米、牛乳、納豆の姿がない。どれも必需品の高位に属するもので、それぞれの姿がない理由は異なるにせよ、何かが間違っている雰囲気があってどうも胡散臭い現象のように思える。
 避難者や救助側の人々が、毎日TV電波を通してすごく感動的で共感のできる心を送ってくれているのが、エネルギーになる点を考えれば、被災前よりも、今、生かされている人たちは、物の豊かさから、心の豊かさへと価値観を転換する機会を与えられているのであり、ある意味とても幸せであるのかもしれない。この価値観の転換の裏に、多くの犠牲を伴っている点については、もちろん忘れてはいけないことであるけれども。
 朝の風景。燃料を求めて長蛇の列を作る車、車、車。
 彼岸の昼の風景。一時的に大家族になった人々が集い、震災などなかったかのような笑顔が鈴なりになった郊外型ショッピング・モール。
 夜の風景。品薄になったスーパーから引き上げる姿が、照明を落とした暗い夜の中でよけいにとぼとぼと力を落としたように見える仕事帰りの買い物客たち(自分を含む)。
 頭が重く、風邪気味である。午前中とてもひどく眠気に勝てない。
 午後、母の残した空き家に住む意向を示すOさんと現地待ち合わせ。刈らなきゃならない草木や捨てなきゃならない廃棄物を中心に見てもらう。この家の鍵……札幌にあるのだった。中には入れない。
 繁茂した緑の途切れめをくぐり、外に出たところで、防犯パトロールと書かれた黄色のユニフォームを引っ掛けて見回りをしている村の長老たちに出くわす。そのうちの一人は先日電話で話をしたばかりの人だった。挨拶。この人が住みたいというので事前に見に来たところであることの説明、などなど。
 日本が地震から復興してゆかねばならないように、母の残した空き家も復興させなくてはならない、との自覚がある。
 Oさんの、修繕しながら住んでみたいという気持ちは、襤褸家を見た後も変わらないみたいだ。最初のうちは通いで修繕、住めるような状況までいろいろいじってみたいとのことである。
 まだまだこの家には、高校時代のガールフレンドとの交換日記や、大学時代に書きなぐった小説の原稿用紙や、二人の兄弟が残したそれぞれの青臭い写真集や、70年代以前に流行っていた文庫本などがたくさん、眠っているはずである。それらを掘り起こす作業もせねばならないだろう。そんなことを考えると少し楽しみである。発掘機会を与えられたインディ・ジョーンズみたいだ。