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浦和、灼熱の午後

 今日は久々の猛暑日で35度を超える暑さだ。彼岸だというのに何と言うことか。
 そんな熱気の中、中仙道で歴史のありそうな建物を見つけた。

 中仙道に向かって登ってゆく路地裏。ここからこの建物は長く続いてゆく。

 中仙道はもうすぐそこ。

 角を曲がると、ここは中山道に面した古いお米屋さんであった。

 お店なので中に入って、話を聞いてしまった。
 建物の歴史を聴いたら、案の定、100年以上前のものだと言うことだ。やはり空襲で焼けずに戦争を生き延びてきたのだ。米軍機は神社仏閣は対象から外したというから(原爆投下地は除いて、という条件つきだろうけれど)、調宮神社の近所にあったのが幸いしたのかもしれない。
 わかりにくいかもしれないが、角にあるのは井戸小屋で、今も地下水を汲み上げている。井戸水は、煮炊きに使っているのだそうだ。もちろん水質検査をたまにやるけれど、生水では飲まない。それでも夏でも冷たい水は洗濯などに使うと気持ちがいいよお、と店の奥さんは話してくれた。
 話をしている店先は古い藍の暖簾をくぐり抜けてくる風がとても心地よく、これ冷房どうして効いているんですか? と尋ねると、自然の冷房、風が吹き抜けるんだよ、と笑われた。こんなに開けっ放しの古い家で冷房かけたって何にもならないのだそうだ。
 中仙道の35度の陽だまりを歩いてここに辿り着いて休みたがる人がいるんじゃないですか? と尋ねるとおかみさんは肯いていい笑顔を見せてくれた。実は、テレビ取材を受けたこともあるそうだ。
 店を後にして、すぐそこにある調宮神社に立ち寄ったが社務所などが工事中で風情がない。賽銭をあげようとしたところで、車に財布を忘れてきたことに気づき、鉦だけ鳴らして拝んだ。入れ替わりに若い女すぐに参拝を始めた。何か一途なものを感じた。人には人の特別な理由(わけ)があるの性が手水を掬ってから社務所に駆け寄り、ぼくと同様工事中であることに気づいたのか、だろうなあ。何の理由もなしに参拝したぼくは、賽銭も忘れ、何の願いもなく、ただ形として拍手を打っただけだった。駄目だなあ。

 坂を下りたり登ったりして辿り着いたところに沼があり、鴨が何羽も浮かんでいて、釣り糸を垂れている人が一人二人。犬の散歩をしていたご夫人にこの沼の名前を尋ねると白幡沼っていうのだそうだ。今年は猛暑でいつもより水位が低いのだという。別所沼はご存知ですか? と聴かれ、あ、それは知っています、と答えた。それにしても北海道を思い出させるような自然がR17のほんの裏手にこうして佇んでいるとは嬉しい。浦和も捨てたものじゃないな。

(ちなみに今日のタイトルは、愛読していた頃の昔の逢坂剛の本のタイトルをもじったもの)
 
スペイン灼熱の午後 (講談社文庫)