結婚しようよ
昨日埼スタの試合ハーフタイムに、スパイ1号さんから受け取ったのは、漁で約束したDVD『結婚しようよ』。
古いフォーク・ヒットをタイトルに映画化した作品は、70年代のATGでそれこそ沢山作られた。藤田敏八は、『赤ちょうちん』『妹』『バージン・ブルース』(これは野坂昭如でフォークじゃないけど)。出目昌伸監督の『神田川』。でも、どちらかと言えばATGらしく青春の暴走と破滅的な恋を描いたものが多く、一様に力強くも暗い世情に屈してゆくか疎外されるかしかない出口のない映画ばかりが多かった。
ところがこの『結婚しようよ』は2008年2月封切という、新しい時代に作られたフォークムービーであるのだった。『吉田拓郎の名曲で彩る、父と家族の物語』とあるが、父の世代を拓郎の音楽が鳴り響くとともに、そのナンバーをストリートミュージシャンや、娘のガールズ・バンドが映画の中で演奏してくれる。古い拓郎の声がいつの間にか現代の若者たちの演奏に変わって行くシームレスな編集も見事。
しかしそれより何より、スパイ1号さんに警告されていたように、この映画、特に父のほうの世代にとってはまずい、涙腺が緩んでしまうのだ。こんなところで「イメージの歌」を流すな、とか思うし、え? オレって、「結婚しようよ」なんかでこんなにぼろ泣きできちゃうの? とか自我崩壊の境地に立たされちゃう。映画の音楽っていうのはやばいねえ。
『時代屋の女房』のちあきなおみ『アゲイン』にも泣かされたけれど、この『結婚しようよ』もやばいのである。
またこの映画中、白眉ともいえる中ノ森バンドの出演だが、ぼくは個人的には誉田哲也のガールズ・ロック・ハードボイルド『疾風ガール』のカバーで使われていたのが印象的だったのだけど、AYAKOの自然な演技とボーカル力には、まいります。彼女に泣かされるシーンも多々あったりする。
いやあ、見事にスパイ1号さん@同世代の計略にはまってしまいました。