幻の酸辛湯
昼を抜いて早めに埼スタに到着し、北門ゲートを入ったところに並ぶ三台のトラック真ん中に並び、インドカレーとナンを仕入れ、スタンドで生ビールとともにゆっくりと食す。リーズナブルな値段でちょうどいいかも。
埼スタ帰りの見沼の夜は、今週も真っ暗。市立病院の裏手から回って、やがて第二産業道路に出るあたりを、ぼくは勝手に中華交差点と呼んでいる。
手前には富士ラーメンというのがあって(富士そばならよくお世話になったものだけど)、そこは赤いレプリカを着て逸早く埼スタを後にした人たちで行列を成している。ここはジャンクで量が多いらしく、もとは二郎と呼ばれていた店らしい。
交差点を渡ると、支那そば屋があり、ここはラーメン290円が売り物。前に入ったことがあるけれど忙しないチェーン。続いてバーミヤンがある。
少し疲れているので、札幌から撤退したバーミヤンで酸辛湯麺でもと思って頼んだのだが、全然酸辛湯のイメージと違い、辛くないピリ辛ラーメンのようだ。札幌東区で食べていた酸辛湯麺のような本格中華の味を求めたのに、これじゃあ。
酸辛湯といえば、アンドリュー・バクスのシリーズ主人公である悪党探偵バークが、仲間の中華料理の店でいつも飲んでいる辛口ハードボイルドに似合いのグルメである。こんな甘口の食い物じゃないのだ。
ついでに餃子の王将も近所にあればいいのに。そしたら普通にざく切りの荒っぽい中華料理を楽しむこともできるのに。バーミヤンよりもっとずっと安い値段で。
え? 埼スタに何をしに行ったのかって? あ、それはよく覚えていない。前後の食事を味わいに行ったんじゃないの?