遠雷
レッズはやはり勝てない。理由は明白。ゼロ封できる守備ができていない。点が取れないと焦って、選手交代が攻撃的になる分、守備が薄くなり、負けてしまう。
その前に勝てないもっと確かな理由がある。
シュートが枠に飛ばない。飛んでもGK正面。つまりシュートがJリーグのクラブチーム中最も下手なんじゃないかと思われる。それでいてボックス内の職人であったタカを韓国に移籍させる。そればかりか、海外合宿にも帯同せず、サポーターに説明もせず、挨拶もさせず、ゴミのように捨ててしまった印象が残る。
フィンケのブラックボックスはこうして公開されないまま、戦後のGHQみたいな闇の中の処理をするものなのだろうか。若手選手たちもどんどん出場機会を求めてレンタル移籍の道をチョイスしてゆく。
フィンケは説明をしない。
インタビューで、観客動員に悪影響が出ている現状の数字について聴かれると、それは私の仕事ではない、とセクショナリズムみたいなことを言って、クラブチームへの冷淡さを覗かせる。
寂しいチームになっちまったもんだ。
試合が終るとあっという間に埼スタは閑散となった。もちろん雷雨の予報のせいもあるだろう。でもレッズが勝っていれば、雷雨の予報なんて誰も気にしなかったろう。びしょ濡れになって帰ることすら気にしなかったろう。
帰り道を自転車で走る。見沼の夜空、北の空にかかった分厚い雲を、雷光がストロボのように照らす。どこかの町ごとB29の爆撃を受けているみたいな光景だ。
音の方は雷ではなく、花火大会のようだ。
家について窓辺に花火が上がっているのが見えた。花火が鳴り止むと、休息に気温が下がり、稲光りと雷鳴が襲ってきた。今日の記憶を洗い流すにはちょうどよさそうな浦和の週末の夜である。