夜の文化圏

　夕食が遅くなったので、隠れ家で久々に呑む。この店で一緒に呑みたがっていたスパイ一号さんとは、なかなかスケジュールが合わないようなので、今回も一人でやってきてしまった。
　今日は生ビール２杯、日本酒は八海山と天狗山と立山少しサービスだったかな。つまみは、能登牡蠣と北海タコ刺身、そして栃尾の油揚げ。
　呑みながらここのバイト君と話の続きをする。大江健三郎は『芽毟り仔撃ち』『性的人間』『飼育』などを入手したとのこと。『性的人間』に収録の『セブンティーン』に感銘したとのこと。高校時代に読み漁ったものだ。どの作品も何十年経った今でも、なぜか異常に鮮明に覚えている。
　映画の話。『春との旅』を浦和のパルコで見たとのこと。主人公の仲代達也と変わらないような高齢者の観客ばかりで、自分は浮いていたのだそうだ。ラストが衝撃であったそうである。劇場に見に行きたかったのだが、つい見逃した。あっという間に公開が終ってしまったみたいだ。地味な映画だとは思うけれど。
　そう言えばこの店ではカウンターで文庫本を開きながら酒を呑む人が多いみたい。隣の人に、今誰が好きですか？　と聴いたら、海堂尊だそうだ。そう言えば『マドンナ・ヴェルデ』を読み終えたばかりだった。来週は『プレイズメス1990』を読み始める予定である。海堂尊、売れています。
　自転車を走らせて家に帰り、家でトマトとキュウリを挟んだサンドイッチを食べる。酔うと食欲が不分明になり、どのくらいで満腹になるのかよくわからなくなるのだ。