ICHI×市=?
綾瀬はるかがドラマ『ホタルノヒカリ』とやらに戻ってくるとかいうことで、バンセンのためにいろいろな番組に顔を出している。その影響でというのではなく、以前から見たいと思っていた『ICHI』をやっと見た。
按摩という勝新設定ではなく、はなれ瞽女という設定なので、岩下志麻主演の『はなれ瞽女おりん』という古い映画を見たくなる。旬の時代に見逃して悔いている映画の一つだ。
『ぼくの彼女はサイボーグ』の綾瀬はるかと同じで、眼が動かないので、やっぱりサイボーグのように見えてくる。途中、日本映画らしいどろどろした運命の図式が解明される辺りの脚本が今ひとつ垢抜けないところを露呈していて、見づらい。眠くなる。
やはり市は勝新バージョンのTV版『新・座頭市物語』が最高だった。ガロのトミーこと日高富明が、自殺を遂げる少し前に掻き鳴らしていた弦の音が未だに耳に響く。
タケシの『座頭市』は、完全にタケシ映画として感性が鋭かった。でも老いた座頭市ファンに酒場のカウンター越しに言われたのは、ありゃあ座頭市じゃねえ、という一言だった。そんな、真面目にならんでも、と言いかけたが、劇場で見てきたばかりの見知らぬ人と、まだ作品を見てもいないぼくがこの映画について話をするのもおかしいので、そのことについては黙っていた。
『ICHI』を見る前に、さらに新しい座頭市映画『座頭市 THE LAST』が封切られてしまったので、こちらはもうすぐDVDで見ることができるだろう。『ICHI』が期待はずれだったように、香取慎吾ちゃんの市もさほどのものではないだろう。
ありゃあ座頭市じゃねえ、とまでは言わないが。
やっぱり西部劇調の日高富明のギターが鬼気迫る中、枯野に立ち上がった陽炎からぼんやりと姿を現す勝新の姿に勝てる映像はそうはないだろう。