シュンの日記なページ

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夜空にトロンボーン

crimewave2010-05-21

 隠れ居酒屋RYOに立ち寄ろうとしたのだが、店は満員。大賞に携帯番号を教えて、その辺で時間を潰してくると彷徨い出す。見つけた店は、明るくて綺麗なので、女の子のお客さんもいっぱいいる、コの字カウンターだけの焼き鳥屋YUTORI。焼き鳥もレバ刺しも美味しいし、埼玉の酒にしては美味しい神亀も置いてあるし、安い。12月にオープンしたばかりの店だそうだ。

 酔っ払ってRYOに戻る。電話くれなかったじゃないか、と入り込むと、電話間違ったのかな、と大将。でもその分牡蠣やウニをおまけしてくれたので許す。ここでは飛露喜を呑む。美味い。

 どうやって帰宅したのかはよく覚えていない。

 そんなに酔ったわけは、ある路地裏でジャズのライブハウスを見つけたからだ。そこには入らなかった。ただ二階の窓からトロンボーンの音色が夜空に向けて零れているのに耳を傾け、しばし路上に佇んでいただけ。

 ここは亡き弟が四半世紀前にテナーサックスやクラリネットを演奏していた店、のはずである。弟の葬儀の時に、ここのマスターの名刺を頂いて、世話になりましたとお礼を言ったのを覚えている。その店は、ざっと探した時に見つからなかったのだが、今日、ついにその小さな間口の前に立って、入ろうかどうしようかと迷いつつ、躊躇ったのだった。弟の想い出を語ることを避けずにこの店の扉をくぐるには、いささか心の準備が要る。

 ぼくはそっとその路地裏を離れた。何度か戻って、何度か洩れ出る音に耳を傾けたという、決断力のなさに自分がいやになりながら。