シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

桜を見過ごす

 朝、髭も剃らず、歯も磨かず、もちろん風呂にも入らない状態で、友達の家で眼を覚ましたのは、友達の母親が仏壇に線香をやり鉦を鳴らしたからである。酔いが残り少々頭が痛いが、この記憶はデジャブだ。そう友達の母はぼくが以前泊まりに来た十数年の昔からこうして仏壇に朝線香を上げるのだった。
 壁には戦地に行った祖先の遺影。古く名のある一家なのだ。
 友達の母は記憶にあるよりずっと老いていたが、挨拶もそこそこに、おいとまする。駅まで送ってくれた友人は、コーヒーでもとミスタードーナツを指差すが、何だか自分が襤褸雑巾のようなので、一刻も早く家に帰ってシャワーを浴び、歯を磨きたいのだ。友人と駅舎で別れを告げ、休日土曜日の朝、よれたスーツ姿で縮こまりながら帰宅する。
 自転車置き場に二日分のコインを投入し、朝の光のなかを家へ。
 もちろんシャワーを浴びて歯を磨き、朝ごはんを作って、味噌汁を啜った。人間に戻ってゆく気がする。
 その後、ベッドにもぐりこんで眠ってしまった。
 午後に一度眼を覚まし、昼食にとラーメンを作って食べたが、しっかり海苔、ワカメ、卵を入れ、ネギを白髪に刻んでいる。我ながらまめだと思う。
 その後さらにひと寝入りして夕方起き出し、慌てて埼スタへ向う。
 自転車を漕ぎ出そうとするとぽつりと雨が来たので、車に替えて出発するが少し行ったところで渋滞にはまり、裏道にハンドルを切って再度家に戻る。そしてやっぱり自転車を漕ぎ出す。風が強く少々体力のあるサイクリングを終えて、レッズのホームゲームで湘南を迎える。
 湘南は9年ぶりのJ1復帰だそうで、サポたちは乗りに乗っている。彼らにしてみれば埼スタはJ1の象徴なのだろうな。何しろ初めて闘うスタジアムなのだから。その気持ちを思うと、少しじーんとしてしまう。もちろん迎えるJ1のプライド・オブ・ウラワを背負っているからこそのじーん、である。
 試合はおおよそ予想通りだったが、内容は予想を遥かに上回ってダイナミズムに溢れたものだった。ポンテさまが調子に乗るとレッズは、違ったチームになる。ポンテさまは非常に調子がよいようだ。この人が7月でレッズを去るなんて本当だろうか。今もなお見せてくれる彼の闘志は、替えの利かない大切なもののように思えてならない。少なくとも今日のピッチではそんなことばかりを思っていた。

 

 帰りは暗闇の中を自転車の灯りだけを頼りに帰宅する。
 夕方の斜光の中であちこちに遠めに桜を見たのに、ちゃんと見沼の素晴らしい桜を愛でていない。一日、寝て過ごしていたのだ。今年はこれで桜は終ってしまうのだろうか。見沼の桜を見過ごしてしまったのだろうか。