『ゼロの焦点』今昔
北海道から買ってきて冷凍しておいたもう一尾のホッケを焼く。ついでに厚揚げを焼いて、ジャガバターを焼いて。ビールを呑みながら、映画は『ゼロの焦点』を見る。WOWOWで松本清張の特集をやっていた奴なので、もちろん古いほうの『ゼロ』。久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子といった女優陣なのだが、昔、小学校時代に『天と地と』で女武者を演じた有馬稲子を見て以来、やはり未だにこの女優がたまらなく魅力的に感じる。『天と地と』よりよほど若い時代で、これが有馬稲子なのかどうか自信がもてなかったのだけれど、この古臭い映画を外国映画並みに活き活きと輝かせているのが、溢れるばかりの活力に満ちた有馬稲子の感情丸出しの演技のように見える。
最近上映されたリメイク作品ではこの三人の女優をそれぞれ、広末涼子、中谷美紀、木村多江が演じている。中谷美紀は現在の女優陣のなかで本当にぼくが好きな女優なのだが、それでも六人を合わせるとダントツなのが有馬稲子である。リメイクも見てみたいが、できれば両方の作品を見比べて、時代を感じてもらいたい。そして原作の素晴らしさも。松本清張のこのあたりの作品を貪るように読んだ季節はいつだったのだろうか。今は、ちょっと思い出せないけれども。
東野圭吾『カッコウの卵は誰のもの』読了。
経緯はとても面白かったけれど、ミステリとしてのラストは何だかな、であった。得てして、そんなものなのだ。