シュンの日記なページ

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こな雪の想い出

 いつから雪になったのだろう。朝は目覚め難く、もう6時半だというのに、窓を開けると、暗い空から雪が降っていた。

 

 雪の朝は、静かだ。
 昔、中学から高校にかけて、ぼくは母屋とは別棟のプレハブ部屋で寝起きしていた。夏は暑く、冬は寒かった。ストーブの上で湧いていた薬缶のお湯が朝になると分厚い氷に閉ざされるくらい寒い部屋だった。窓を開けると、床までも続く畑とその最深部を区切る森しか見えなかった。あの森からゴジラが出てきたらどちらに逃げようかという想像をする少し幼稚な中学生だった。
 でも雪の朝は、ぼくは浮かれた。窓を開けると見事に畑地が雪に覆われ、綺麗な雪原となり、森はカナダ北部のタイガのように黒く見えた。黒い森といえばシュツットガルト。そんな冬を思わせる、アジアとは思えない真性の冬の姿だった。
 今は関東地方にはあれほど深く積もる雪は見たことがないし、降っても積もらないボタン雪。友達の家の前に雪山を作って、即席に父親たちが作る竹スキーを履いて遊んだあの時代、あの頃の雪の多さは一体なんだったんだろう。
 ボタン雪は積もらないけれど、こな雪は積もります。
 そんな先生の説明を聴きながら、教室の窓から、確かに密度の濃いこな雪を見て歓んだ。雪合戦をやっているうちに、雪球に石を詰めて投げてきた友達と喧嘩になり、ダルマストーブの前で体よりもむしろ心の痛みに慟哭した。悔しいか、悔しければ思い切り泣け、先生にそう言われ、甘えたようにさらに泣き出してしまった小学五年生の男児だったあのひと時のことが、なぜだか忘れられない。
 あの頃の埼玉県は、確かに寒かった。見沼代用水の水が凍ると、その上を歩いて帰った。今では川が凍るなんてさいたまでは考えられない。