深夜便出港

　帰宅したのが21時。慌ただしく出発の支度をしていると、携帯に船会社からメールが飛び込む。
　何と乗船手続きを22時半までに済ませてくださいとの内容。間に合うわけがない。
　船は融通が効くから多少の遅刻は大丈夫だろうとは思いながらも、とにかく出発した。
　途中、サービスエリアにもコンビニにも寄らずすきっ腹を抱えて大洗フェリー埠頭にたどり着いたのが23時過ぎ。着いてみると船のターミナルには有りがちなのんびりムードで、コンビニで食糧を仕入れて来なかったことがやっぱり悔やまれる。
　何せ日が変わって1時半の出港だ。乗船してレストランも売店もない深夜便の素っ気なさにまず打ちのめされる。
　とにかく自販機でしか食い物を調達できない。空っぽのラウンジに電子レンジと自販機が並ぶ異様な空間で冷凍食品の麻婆焼きそばなるしょっぱい粗雑品を啜りながら、これだけはラッキーなことに自販機で買うことのできたサッポロクラシックビールで空腹を満たした。
　こんなことならきちんとした食糧を仕入れて来るのだった。貸し切り状態の風呂に入り。またビールを追加注入してやる。
　驚いたことにまだ乗船してくる人がいる。
　深夜の、自販機に囲まれたラウンジで、ぼくは激しい後悔に身をよじるのだった。