船上日記
船室で眠りを貪りすぎた。船ではいつもどっぷりと眠りの深海に沈み込んでしまう。
昨夜は閉ざされていたドアが、今日は開いていて、中に足を踏み入れると、船の最先端が見下ろせるラウンジになっている。
ラウンジで音量を上げてTVを見ていたオヤジがちょうどうまい具合に消えてくれたので、海を見る位置に居場所を確保することにした。
俺の一角、というわけだ。
信じられないことに、この船には食事がない。自販機で買ったカップヌードル一個。それが今日の船上で口に入れる唯一の糧食となりそうだ。
苫小牧着港は19時45分。乗用車はトラックが全部下りてから、最後の下船となるそうである。本気でフェリーでの商売をやろうとしていないことが瞭然としているばかりか、三井商船フェリーがこの商売をいつやめようかと真剣に思い悩んでいるように思える。
飛び石連休の初日でありながら乗客は少ない。船旅に期待するものを捨て去って、車を運べる移動手段という最低限の機能だけでやりくりしている。この船に二度と乗ろうとは思わない。下船まで残り4時間。