夜に吼えてしまった
昨夜は抜歯の折、歯科の女医さんから、今夜はお酒とお風呂と運動はお控えください、と言われたので、お酒ではなくビール500ml缶を一本だけ呑み、お風呂ではなくシャワーを浴び、運動ではなくヒンズースクワットを100回だけやった。三番目は嘘だけど。
その反動で今日は、がっつり(って言葉いつの間に世間に定着したんだ?)鍋材料を買って、水炊きをやった。生食用牡蠣、生鱈、鶏つくね、豆腐、シラタキ、白菜、エノキダケ、長ネギ、春菊。大根おろしをすって一味まぶしの紅葉おろしにポン酢をかけてレンジからの下ろし時を待つ。一煮立ちさせて蓋を取る。卓上コンロに土鍋ごと移す。熱々の鍋と冷えきったビールをぐいっとやりながらこれをつつく。幸せである。
ニュースを見ていたら、直木賞の発表、おーっ! 佐々木譲の『廃墟に乞う』が受賞だ。一瞬で興奮し、やったあ、と雄たけびを上げてしまった。同時受賞の白石一文は読んだことのない作家なのでわからん。
わが北海道を代表する作家として佐々木譲は北海道にこだわる小説を書き続けてきた。後に『エトロフ遙かなり』とドラマ化された『エトロフ発緊急電』は和製『針の眼』のようで、興奮したものだ。こいつは確か日本冒険小説大賞を取ったのではなかったか。と、ここでウィキペディアを調べたら1989年の受賞だった。
その頃から読み続けている作家なのだから、そりゃあ嬉しいわな。近年、警察小説に目覚めてからは、水を得た魚のように活き活きとしてきたこの作家。ぼくは何と言っても北海道を舞台にしたこの人の警察小説が大好きであり、躊躇いなく新作を買う。
- 作者: 佐々木譲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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『廃墟に乞う』は、情報を見逃したかっこうでつい先日読んだばかりだが、ぼくは北海道の魅力をさえ満遍なく伝え、なおかつメンタルヘルスで病んだ休職中の警察官、という特殊な設定までが深みを与えた連作短編集を堪能した。
嬉しい。その一言である。