バッシング
8日の昼飯時に口の中でがきりと石を噛み砕いたかのような音がして、その瞬間から、右上5番の歯に激痛が走った。歯というのは折れたり割れたりすると痛いものなのだな。格闘技や喧嘩で歯を折る人というのは打撲の怪我なんかよりも、よほど歯が折れた痛みのほうが心情的にも物理的にも痛いのではないだろうか。
とにかくなかなか歯医者に出かける暇もないまま、ゴルフ中には時おりインパクトの瞬間歯を噛み締めてしまい、激痛に身悶えすることもあった。
もちろん食事のたびに痛い。
今日は寝不足、風邪気味に歯痛が加わり、顔のほうがかなり熱く重く鈍痛に覆われている感じになってきたので、限界と知り、夜間診療をやっているさいたまの歯科医に半年振りに出かけた。
歯科助手かと思っていた若い女性がそのまま麻酔をかけて歯をぐいぐいっと抜いてしまうので、あ、この人はもしや女性歯科医なのでは! とその時点で初めて確信するお馬鹿ぶりである。
ぐいぐいヤットコのようなもので引っ張られる感覚。おお、今まさに歯が抜けようとしているのだなあと、抜歯ing中には、顎ごと引っ張られるような感覚を耐えながら、堅く目を閉じていた。
目を明けると吸引チューブを入れて補助しているのが若い男性だ。おお、ここは男女逆転だったか。若い女性歯科医はてきぱきと助手君に指示を与えてゆくのだった。
根元まで割れているという歯をもらって帰った。抜かれて縫われている歯茎は痛みはあるけれども、やはり神経が露わになった歯に触れる激痛には遠く及ばない。かくしてぼくの口回りにはようやく平和が訪れた。
けれど、これから一ヶ月ほど、新しいブリッチをセットするまでは、歯医者通いとなりそう。
早く寝よう。