フェンスだらけの国

　調布の味の素スタジアムにレッズ対FC東京戦を見に出かける。友達の車に同乗して。調布と三鷹と府中の市境が接し合うこのあたりは、広大な土地をスポーツ公園のように使っているようだが、元、米軍調布基地の跡地であるせいか、それとも行政管轄のエリアがそれぞれの責任範囲以外は知らないとばかりに自陣だけを天下にしているせいなのか、ともかくフェンスが多い。目の前に見える味スタをフェンスが妨害し、とんでもない遠回りを強いられる。
　帰りには16時過ぎに閉まるというゲートに阻まれた。18時くらいまでは閉めずともいいものを。乗り越えて、車を取りに行く。真っ暗で広大な土地の向うにまだ続くどこかのアメフトゲームのナイターのライトがぴかぴかと光る。今の時期だと、札幌なら手稲山のライトが夜空に浮かび上がる時期だったな、などと感傷にふけりながら、11月まだ生暖かい空気をかき回して、調布の夜をぼくは歩くのだった。車は遠い場所にあるのだ。
　友だちを道路脇に待たせたまま、フェンスだらけの国に迷い込んだ一種の不可思議な時間帯。これがぼくの日曜日の夜。