シュンの日記なページ

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雑踏海岸

 今日も電車内は空いていて異国情緒たっぷりだ。ヒップホップ系の若者がこんな健全な朝の通勤時間に乗っているし、座席の四人分を占領して、若いホームレスが横になっている。ときどき椅子の布に鼻を押し付けて、その後にてかてかとナメクジの這った跡のような白が残るのが気持ち悪い。でもホームレスが急に飛び起きて、どこの駅かも確かめもせずにホームにふらつきながら降りて行くと、瞬く間にその白いナメクジの跡の上に何も知らず、清潔なおべべを着た男も女も座ってゆくのを見て、知らないというのは幸運なことかもしれないと、感じていた。
 久しぶりに耳にイヤフォンをして新橋という日本国に今日もまた上陸したぼくは歩く。この辺りで一番大きな交差点を通り過ぎる時にはi-Podからは久石譲の『あの夏、いちばん静かな海』がかかっていた。あの映画の、きらきらと輝く海辺が思い浮かぶ。透明な音楽。音が溢れ出し、波が砕け散る。
 酔いそうになった。i-Podは凄いな。いや、久石譲が凄いのか。
 夜、お客さんと近所で夕食。遅くなって帰宅し、白川道『最も遠い銀河 下巻』を読み切る。

 最も遠い銀河〈上〉 最も遠い銀河〈下〉

 読みごたえのある長篇なんだが、仕掛けが少なくメリハリに欠けるところが厳しいか。一時代前であれば、多くの読者が飛びついたかもしれない。でも今では廃れた世界の作品ということになるのかもしれない。白川のような作家にとっては報われない時代だ(売れるかもしれないのに、何を勝手なことを!)。