シュンの日記なページ

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ファミリー・パーティ

 家族が昨日札幌からやってきて、妻の実家に泊まっている。我が部屋から歩いて10分。自転車で5分。
 昨夜の酒の名残りか、すっかり朝寝坊をする。携帯を覗くと、息子から今日どうするの? とのメール。
 朝ごはんは(向うは昼ごはん)食べてから、母親のいる老人ホームに出かけようと打ち合わせる。ゆっくり味噌汁の具を刻み、朝食の用意をして、休日の朝を(昼だけど)楽しむ。
 妻子との二週間ぶりの再会。妻の両親に挨拶してそれから車で老人ホームに向った。
 少し早めに着いたから、四月には桜の綺麗だった鷺山記念公園に立ち寄った。中央の沼に鯉が跳ね、鴨が水面を渡っていた。札幌の我が家の近所の公園みたいだ。

 
 

 それから老人ホームへ。ベッドにいた母の部屋に着くと、妻が涙声になって母の手を握った。息子は当惑している。認知症で記憶障害が激しい母は、今日はぼくの息子を自分にとって孫であるとは理解できず、高校一年生であることと、一人息子であることを教えると、そればかりをとうとう一時間半の間定期的に噛み締めるように繰り返す。ぼくを介護師に母は弟だと紹介した。今、母は、自分の年齢を何歳だと感じているのだろう。
 もう一年も入所生活を送っているのに、ここに来たのは四日前だと母は言った。便秘の薬がほしいという。もう三日も通時がない。介護師が毎日でていますよ、と母に言うが、母は家に帰れば便秘の薬があるのよと言う。
 今日の午後の記憶が三時には失われている。大きな無力感が家族の間によぎるが、それは現在の穏やかな幸福のような時間である。窓の向こうに緑が濃く、蝉がかまびすしいが、母の目は見えず、蝉の声も聴こえないという。入所者の弾くピアノの音がどこからか届く。単音で奏でられた荒城の月はとてもものがなしく、広い空間を通り過ぎてゆく。
 夜、妻の両親らとぼくら家族は新都心のアルピーノでフランス料理を食べている。シャンパンを空け、ワインに切り替える。夏らしいコースメニューで、家族はとても満足しているが、妻の両親がぼくの母のようになるのにそう待たないだろう。兆候は既に見られる。

 
 

 ぼくの家族。これを中心にした二親等以内の全家族が、今日は全員登場した一日だったのだ。平均年齢の異様に高いファミリー・パーティだ。