シュンの日記なページ

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読後感

 読後感の爽やかな小説が好きなのだけれど、読後感に何かわだかまりの残るような小説も嫌いではない。
 でも読了したジョン・グリシャムの『謀略法廷』ほど、もし映画化されるなら結末は変えて欲しいと思える小説は、バーナード・マラマッド『修理屋』からこの方出くわしたことがないかもしれない。
 アメリカの差別や権力、貧富の差に関する時代遅れ感に関しては枚挙に暇がないほどなんだけれども、今この時点で、オバマさんが政権を取った今でも、なお、まだこのような小説世界が現実にありそうだと思うと、絶望的名ほどにアメリカは馬鹿なんだと思う。とりわけ南部のアメリカ人たちは、もう一回南北戦争をやって徹底的に思い知らすべきかもしれない。
 銃を持つことが正であり、リベラリストは悪であり、人種宗教は一であって他のものは認められず、排他のみ。そんな世界を背景に法が思わぬ金力により曲げられてゆく。いやな本である。もしかしたら、読まないほうがいいのかもしれない。そのくらい読者に思わせてしまうことは得な話だとは思えないのだが、どうなのだろうか、作家の側の気持ちとしては。

 謀略法廷〈下〉 (新潮文庫) 修理屋 (1969年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)