シュンの日記なページ

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背中の大きな穴

 土日は自分で消毒してね、と先生が言う。
 えっ、どうやって? 
 ご家族にやってもらえばいいんですけど。
 えーと、ぼくは独りなんですよ、単身赴任なので。
 えーっ、と看護師二人。じゃあ、家が近かったら私が行ってあげようか。
 そうだねっ。
 って、君たち! このベッドでさえ、ぼくはシャツを脱いで上半身裸なのだぞ。わが独り部屋で上半身裸になって、背中にぽっかり空いた穴を消毒してもらうなんてわけにはゆかないのだ。
 独りでやれないだろうか、とぼくは聴くと、
 届くよね、と看護師たちが背中に両手を回してみせる。
 手が届くくらいは、ぼくだってやれるがさすがに、指先だけが届く程度で、消毒まではできないぞ。
 迷った挙句、先生は、よし、それじゃ自家消毒はやめよう、二日間このまま! 少しガーゼを増やして詰めておいて! と言い置いて診療室に戻ってしまった。
 看護師が来なくても、近所の友達に依頼するなどオプションを提案したのだが、でもけっこう大きな穴ですよ、などと看護師らが反対するのだ。
 何だか自分の背中が怖くなってきた。