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ボーモンが苦痛を知った日

 歯が痛くなるたびにル・クレジオを思い出す。昨年、なんとノーベル文学賞を受賞しちゃって一躍有名になったが、昔、『発熱』を大学のゼミで取り上げて少しだけ現象学サイドの実存主義を学んだ。その中に発熱や歯痛などによって、狂って行く日常を描いた感覚的狂気ともいうべき作品集があって、それが『発熱』歯痛は『ボーモンが苦痛を知った日』であったように思う。以下、『発熱』に続き、『ボーモン……』の原書カバー。

  


 

発熱 (1970年)

発熱 (1970年)

 

 昨日はぼくは発熱ではなく歯痛でのた打ち回っていた。歯と歯肉の間に食べ物が詰まったまま一日を気づかずに過ごしたら、歯肉が腫れてしまい、痛みに悩まされたのだ。帰りがけに今夜のおかずであるマグロや(後のマグロ丼と化してぼくの歯痛を少しだけ忘れさせてくれた)ホッケとともに、リステリンを買ってきて口を真夜中に起き出しては何度かゆすいだ。でも痛みのせいでまた眼が覚めてしまう。
 過度な摂取で肝臓を壊し死にそうになって以来極度に避けるようになっていた鎮痛剤につい手を延ばす。これで朝まで眠れた。しかし睡眠時間は二時間くらいだ。
 給料前で金がないときなのに、明日は宴会で、明後日は横浜のアウェイ観戦だ。そんなときに歯医者に行ったら文無しになりかねない。だから当面痛みを騙し騙し、先延ばしにしようと思う。ル・クレジオをその都度思い出しながら。狂気の側に捉えられないよう気をつけつつ。