シュンの日記なページ

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深く静かに潜行せよ

crimewave2009-04-22

 人口の多いマンモス都市東京に通っているのだなあ、と思い知らされるのは、毎日のように発生する電車の遅れだ。さいたまから荒川を渡って東京に入り、まさに東京駅へ向う各駅停車の電車が停まる。昨日も停まる。今日も停まる。駅に停まって動かない。
 放送が流れる。蒲田駅で具合の悪い人がいて救護をしているために、各駅に電車が停止している状態であるらしい。それが昨日。急いでいる人は、向かいの山手線に乗り換える。
 今日も放送が流れる。王子駅でホームに転落した人がおり、ただいま救護活動中なので停まります。あれ、王子駅ならもう過ぎたけれど、なぜ停まるの? 後ろから続く電車が来ないために、停まっているのだそうだ。あ、そうか、さすがマンモス都市東京。駅に人間が溢れすぎちゃうから、居場所を作るために収容力のある電車を停めておくんだ。なるほど。
 毎日札幌北部を車で通うと、運が悪いときには踏み切りで遮断機が降りる。たった1輌か2輌編成のディーゼル電車が通過するのを待つのに、気が遠くなるほど早いうちから遮断機が降り、電車が通り過ぎても、見えなくなるまで遮断機は上がらない。実に暢気な時間間隔だ。
 そういう通勤を考えると、毎日の首都圏交通網に勃発する人身災害は恐るべきものである。
 帰宅時、桜木町の方で人身があったという。横浜じゃないか。それでもやはり後発の電車がしばらく来ないのでと、各駅にいちいち長めの停車をするJRなのである。
 それにしても電車の乗客の多くの若い世代がモバイルゲーム機を手にしているし、それより多くの人が(特に女性が)i-podのイヤホンを耳に突っ込んで釈迦釈迦釈迦とシンバルの音ばかりを回りにばら撒いて独りいい気持ちになり読書家のぼくの眉をひそめさせる。多くの爺さんが漫画を手に取り、多くの若者がおばさん化して凶暴な席取りゲームをやらかす。この国には恥の感覚というものがなくなってしまったのだろうか。プライドというものも。
 気位を持ち、頑迷なスタイルを崩さない。優しくタフであらねばならない。言葉には気の利いたジョークを。酒や料理をきちんとたしなみ、生活で妥協をしない。清潔と独自のリズムを持ち、周囲に流されず、孤高である。
 そんなハードボイルド小説から学び取れるダンディズムの教えを知っている人なんてあまりいないのだろうか。電車のなかを見渡す限り、数えるほどしか見当たらない。ほかは、まるで動物園みたいにナチュラルで本能的で無自覚だ。そんな風にすが眼で見ているぼくを、もっと魂的に高位にある人はすが眼で見ているんだろうなあ。少なくともぼくの周囲にはそうした高位と思われる人たちが溢れかえっている。そういう人たちは、こういう場所こういう時間にはどこに身を潜めているのだろう。