シュンの日記なページ

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二次元を行く

 司馬遼太郎の『街道を行く』ではありません。念のため。

 何をふざけているのだろうか。実際には眼帯をつけて片目で歩行してみると、やはりいろいろな意味で危険である。
 まず歩道を歩いていて段差がわからない。傾斜もわからない。とにかく立体感がないのだ。駅の階段を危うく、一段目から踏み外しそうになった。余計な黄色いラインのせいで二段目からが階段だろうと見えるのだ。でも一段目はもしかしたら、これは落差である可能性もあるよ、と慎重に踏み込んだらしっかり落差であった。
 すっかり二次元マンだ。
 階段を下りながら、それが平面にしか見えない。これはおかしい。
 それから、左にいた小さなおばちゃんを突き飛ばしそうになって、ごめんなさい、すみませんと謝ったのだが、正直、死角が多すぎるのだ。首を少し項垂れていると、左脇のほうが見えてくる。でも首を普通に正面に向けていると、左側の距離感が量れないし、死角がとても多い。なので、どうしても首を振って左を確認する動作が増える。怪しいだろうなあ、十分。
 そんなに注意していても、駅の改札機に左腰をぶち当てたし、エレベーターのドアに左腕を挟まれそうになった。死角は、確実に存在する。

 そういったことを昨日体験していたがために、今日は性懲りもなく対策を練って自転車で駅に向かう。昨日は行きはバス、帰りは歩きだった。焼き鳥屋のカウンターにサングラスで座り、とても怪しく酒を呑んでいた。今日は、自転車。最初からサングラス。転倒の原因が鞄がタイヤに擦れてバランスを失ったものと自覚があるので、デイパックで会社に通うことに決めた。もちろん二次元マンでは自転車は危険すぎるから、サングラスで駅へ。
 駐輪場で眼帯に代え、紙のように真っ平に見える階段を不思議なことに登り出すのだ。
 夜、遅くまで残業。一日中片目で仕事をし、片目でパソコンを覗き、片目でお客さんと「お見苦しい限りですが」と名刺交換をした。
 帰り際に、ふたたびサングラスに。怪しい、って言われるが、二つの目玉を使えない一日の長さを感じた末には、見た目はどうでも立体世界に戻りたくなるのだよ。そうして、怪しい夜更けのサングラスおやじは、家路に着く。二次元な一日にサヨナラをして。解放感に満ち溢れて。