ビー・サイレント

　また帰路は新しい道を開拓する。駅からいくらもゆかないうちに、「生鮮食品のあるコンビニ」という看板を見つけた。
　ローソンの系列店なのだろうか。独身男女、あるいは単身赴任中年（自分も含む）などが引きも切らず訪れては、慣れた様子で、レンジ用ご飯パックなどをごっそりとかごに入れて買ってゆく。
　確かに安い。冷凍食品は一食分にも満たない量で、その代わりどれもこれも99円の値段がついている。カット野菜のパックも99円で、量がたっぷりなので、思わず手を出した。白身魚のフライもふた切れ99円。豆腐と麻婆豆腐の元を買い込んで、さらに厚揚げなどもかごに入れる。牛乳も安いじゃないか。
　思わず、この店が気に入ってしまった。これからはこちらが帰り道のスタンダード・ルートになりそうだ。760円くらい払って店を出て、るんるんしながら寒風の夜道を帰る。
　最近、隣の角部屋に入居した人がいるらしいが、何の音もしない。車はヤンキーっぽいので、何だかいやな感じだが、必ず夜には灯りがついているので、夜遊びなどはしないらしい。
　最近まで、夜中でもギター掻き鳴らしたりしていたのだが、一応恥ずかしいので遠慮がちである。他の部屋はまだ入居していないのに、よりによってなんで隣に引っ越してくるのよ。大音量CSIを見たり、歌ったりできないじゃないか。というわけで、今夜もおとなしく寝ます。